発達障害の理解におすすめ、栗原類さんの本
数年前から、発達障害に関する話題が増えてきているように思います。私自身が子育てで思い悩んでいるからその言葉に敏感になっている面もあるのですが、それをのぞいてもだいぶ認知度が高くなってきている気がします。
今回は、発達障害当事者であると告白されたタレント栗原類さんの本をご紹介します。
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まず、発達障害とは
字の通りに見れば「発達に障害がある」ということですが、それよりも発達に「偏り」「凹凸」があると考えたほうがいいでしょう。
人が百人いたら百人とも得意不得意が違うわけで、そういう意味では個性の範囲とも言えます。なので、発達障害と判断されるには「その特徴により本人が困っている」という条件が入っています。周囲と違いのないことが大切という価値観がある日本では、得意不得意に大きなばらつきがあった場合は本人が困ることもあるでしょうし、周囲が困ることもあるでしょうね。
明らかに乳幼児から様子が違う(目を合わせない、笑わない、など)場合を除けば、ある程度成長して小学校に入ってから「どうも周囲の子と違うようだ」とわかることもあります。大人になってから、やっとわかることも・・・これについて、後ほど述べます。
栗原類さんの本
最初に書いたように、最近では発達障害のことがよく知られるようになり、様々な本も出版されるようになってきました。医者であったり、親であったり、当事者であったり、いろいろな人が症状や対処法について書いています。その中で、栗原類さんの本「発達障害の僕が輝ける場所をみつけられた理由」をお勧めする理由は、3つです。
◆当事者が成長の過程での事件・感じたことを書いている
どうやらご本人は短期記憶もムラがあるとのことで、小さい頃のことは聞き書きされているようです。それでも、アメリカの保育園に通ってどう感じたか、日本の中学3年間いじめにあってどう思っていたのか、仕事をする上で困ったことをどう感じてどう対処したのかということを細かいことまで書いてあります。小さい頃からモデルをして、アメリカと日本を行き来する生活をし、俳優を目指して俳優になったというルートは一般的ではありませんが、一つ一つの問題や対処方法は日本にずっと暮らして学校に通っている子どもにも当てはめて考えていけます。
◆お母さんの考えたことや対処方法を書いている
親が書いた本というのも他にいくつもありますが、症状と対処法を細かく書いたものが多いように思います。この本では、栗原泉さんというお母さんが類さんの傾向を感じてとった行動がものすごく長期的視野で計画的、そして海外的な視点もあり、たぶん泉さん独自な感覚も入っていて面白いです。類さんは海外で「発達障害の疑いあり」とされ同時に検査となったようですが、日本ではそれは人権侵害?となるのか、親や本人が自主的に検査を受けないといけません。教師が生徒に検査を勧めることも難しく、また診断が下りても親が受け入れられず対処が進まないこともあるとか・・・難しい問題ですが、もし子どもが困っているならその問題に対応する形で進めていけたら最終的にその子のためになると考えます。
◆主治医の意見も書いてある
類さんの話、泉さんの話、そして主治医の話と進み、同じエピソードでもそれぞれの見方や意見が違うというのがわかります。類さんと泉さんが経験し行動したことに対する主治医としての見解も書いてあり、もちろん一般的に発達障害とはどういうもので、類さんに起こったようなことの場合はこうしたらいいというアドバイスもあります。個人的には「極端にいうと、健常児なら言って聞かせて頭で理解して改善できることが、発達障害の子は行動などを含めて体験しないと改善が進まない」と書いてあることが腑に落ちました。
大人の発達障害とは
ちなみに、「大人の発達障害」という言葉もよく耳にするようになりました。「ずっと生きづらさを感じていて、大人になって検査してもらったら実は発達障害だった」というパターンが一番多いようです。この場合は、生きづらさの原因がやっとわかった!自分の何かが悪いんじゃない、生まれつきの性質なんだ、という考え方で安心される方が多いとか。
職場でも発達障害らしき方が仕事や職場の人間関係になじめず、二次障害(うつやパニック障害など)を発症することが問題となっています。
「増加する大人の発達障害:拡大版」DIAMOND online
全ての人に同じ仕事で評価、ではなく、適材適所で皆が心地よく過ごせる職場環境を作っていくことも大切ですね。
ところで。
「小さいころ勉強もできて要領もよい、頭の回転も速くて、何でも他人より早くできる子、いわゆるできのいい子だといわれて育ってきたタイプ」だけど類さんと同時に発達障害だと診断されたという泉さん。自分で言うのも何ですが私も似たタイプでそれでいて人間関係が苦手だった・・・もしかしたら~なんて思います。
正直なところ、我が家はこの話の薄まったタイプなのではないかと。
全ての個性が、遠慮なく発揮できる日本になってもらいたいと思います。
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